「経費の締め日っていつでしたっけ」。総務の担当者に、今週だけで5回目の質問が飛びます。答えは規程に書いてあります。書いてある場所を、誰も覚えていません。質問した側も、探すより聞いたほうが速いと知っています。
ChatGPTで社内FAQを始めようとしてつまずくのは、たいてい次の3点です。
- 無料版のままでどこまでできるのか、プランの線引きが分からない
- 社内資料を読ませてよいのか、学習に使われないかが判断できない
- 作ってはみたが、答えの根拠が分からず社員に信用されない
この記事では、ChatGPTで社内FAQを回す最小構成を、次の順で扱います。
- プラン別にできること(公式サイトの表記だけで整理)
- GPTs(ChatGPTの中に資料と指示をまとめて置ける入れ物)で社内FAQを作る5ステップと、そのまま使える設定文
- 出典を必ず出させ、答えられない質問には答えさせない設計
- 作った社内FAQが使われなくなる4つの原因と、その避け方
Saix自身、社内マニュアル67本を読ませたAIヘルプデスク「サイくん」を日々の業務で使っています。作り手であり使い手でもある立場から、机上論ではなく手を動かす前提で書きます。
社内FAQをChatGPTで始めるとき、最初に決めるのはツールではありません。読ませる文書を1つに定めることです。
散らかった資料にAIをかぶせても、古い答えが自信満々に返るだけです。まず30問ぶんの根拠資料を1か所に集めます。
FAQの文書そのものの作り方から整えたい方は、次の記事が参考になります。

監修者
株式会社Saix 代表取締役
東証プライム上場企業含む100社以上のAI導入支援|リクルートでのAI推進・新卒マニュアル制作経験を経て、Webサイト「AIマニュアル研究所」を運営|YouTubeメディア「かいちのAI大学」4.8万人。
社内FAQをGPTsに任せたとき、問い合わせ対応の時間は年間いくら分減るのか。3分で数字にできます。
会社のホームページのURLを入れるだけで、削減できる時間と、それを人件費に換算した金額がその場でわかります。入力は5つだけ、3分で終わります。費用はかかりません。
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※ 画像の金額は表示例です。実際の試算額は入力内容によって変わります。
ChatGPTで社内FAQを回す最小構成|必要なのは3つだけ

社内FAQの仕組みは、大掛かりに見えて部品は3つです。根拠になる資料、それを読ませたGPT、そして社員が入る入口。この3つがそろえば動きます。
製品を買わずにここまで到達できるのが、ChatGPTで始める最大の利点です。開発も、サーバーの契約も要りません。用意するのは資料と設定文です。
この記事が扱うのは、その最小構成の作り方に絞ります。FAQの文書そのものの書き方、既製品の比較、自社開発の進め方は、それぞれ別の工程です。
一方で、ここから先には壁があります。誰がどこまで見てよいかの権限管理と、全社への展開です。最小構成で始めて、必要になった時点で製品を検討する。この順番なら投資を先に決めずに済みます。
プラン別にできること|カスタムGPTが使えるのはPlus以上

最初の分かれ目はプランです。ChatGPTの料金ページを実際に開いて確認しました。
| プラン(公式表記) | 月額(公式表記) | カスタムGPTの作成 | 社内FAQでの位置づけ |
|---|---|---|---|
| 無料版 | 0円 | 記載なし | 質問の書き出しと原稿づくりまで |
| Go | 月額 1,400円 | 記載なし | 個人利用向け。FAQ運用には足りない |
| Plus | 月額 3,000円 | 「カスタム GPT」と明記 | 1部署で試すならここから |
| Pro | 月額 16,800円から | 「カスタム GPT の拡張」と明記 | 使用量が上限に当たる場合の受け皿 |
| Business | 公式サイトのビジネス向けタブに掲載 | ワークスペースでの共有・管理あり | チームで共有するならここ(2名から) |
| Enterprise | 営業担当へ問い合わせ | 権限管理・分析まで対応 | 全社展開・権限を分ける段階 |
※本記事の料金はすべて各社公式サイトの記載(2026年7月時点)にもとづきます。プラン改定により変わる場合があるため、検討時は必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
Plusの説明欄には「プロジェクト、スケジュール済みタスク、カスタム GPT」と書かれています。自分の資料を読ませたAIを作って保存できるのは、Plus以上です。
学習の扱いも公式ページの比較表で確認できます。プライバシーの行に「コンテンツをモデルの学習に使用」があり、いずれのプランも「無効化可能」と明記されています。設定でオフにできる、という意味です。
ここは社内で説明を求められる箇所なので、公式ページの記載をそのまま提示し、設定画面で実際にオフにした状態を見せてください。口頭の説明だけでは、情報システム部門の承認が下りません。
複数人で使う段階になると、Businessの範囲に入ります。同ページのFAQには、企業向けプランはユーザー2名から、Enterpriseの詳細は営業担当への問い合わせと書かれています。
ここまでの内容を自社に当てはめると、年間どれくらいの経費が減るのか。会社のURLを入れるだけで、その場で試算できます。
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GPTsで社内FAQを作る5ステップ|30問なら1日で形になる

ここからが手順です。5つを順に進めると、30問ぶんの社内FAQが1日で形になります。山場はSTEP4の設定文ではなくSTEP1です。読ませる資料が散らかっていると、あとの工程で取り返せません。
STEP1:よく来る質問を30問書き出す
何を担当者に実際に届いている質問を、そのままの言い回しで集めます。
どうやってチャットの履歴とメールを1か月ぶんさかのぼり、質問文をコピーして並べます。整えないでください。社員が実際に使う言い回しのまま集めるほうが、あとで答えられる質問の幅が広がります。
ゴール:実際に来た質問が30問、生の文言で並んでいればOKです
STEP2:根拠になる資料を1か所に集める
何をその30問に答えるための資料を集め、最新版だけを残します。
どうやって同じ内容の資料が複数あったら、この時点でどれが正本かを決めます。改定前の版は外します。ここで残した古い資料が、そのまま間違った回答の材料になります。
ゴール:30問に対応する資料が10本以内にまとまっていればOKです
STEP3:資料をAIに整形させる
何を集めた資料を、AIが読みやすい形に整えます。
どうやって下のプロンプト(=AIへの指示文)を使います。プロンプトとは、AIに「こう作ってほしい」と伝える指示の文章のことです。
添付は社内の<資料名>です。社内FAQの根拠資料として使える形に整えてください。
【出力の条件】
・見出しは「誰が・いつ・何をするか」が分かる文にする
・1項目1トピックに分け、複数の話題を1項目に混ぜない
・日付や金額など、改定される可能性がある値には「<要確認>」を付ける
・資料の中で矛盾している記述があれば、末尾に「矛盾している箇所」として一覧化する
・元の文言を勝手に言い換えず、社内用語はそのまま残す
最後の2行が効きます。矛盾を一覧で出させると、資料を読ませる前に直すべき箇所が先に見つかります。
ゴール:整形済みの資料と、矛盾箇所の一覧が手元にあればOKです
STEP4:GPTを作って資料を添付する
何をカスタムGPTを新規に作り、整形した資料をナレッジとして添付します。
どうやって設定画面で名前と説明を入れ、instructions(=そのGPTの動き方を決める設定文)を書き、資料ファイルをアップロードします。設定文の中身は次のH2で扱います。
ゴール:資料を添付したGPTが1つ保存されていればOKです
STEP5:30問を投げて答え合わせをする
何をSTEP1で集めた30問を、作ったGPTに順番に投げます。
どうやって正しいかどうかを、担当者が1問ずつ確認します。間違えた質問は、資料が足りないのか設定文が悪いのかを切り分けます。公開前に30問を通すかどうかで、最初の1週間の評判が決まります。
ゴール:30問中、担当者が「この回答なら出してよい」と判断できる状態になっていればOKです
公開する範囲も、この段階で決めます。いきなり全社へ配らず、まず1部署で2週間使ってもらう形が安全です。最初の利用者を絞ると、間違った回答が出ても影響が広がりません。
2週間のあいだに集めるのは、答えられなかった質問です。その質問に必要な資料を足し、もう一度30問を通す。ここまで回してから、次の部署へ広げます。
instructionsの設計|出典を出させ、答えられない質問には答えさせない

社内FAQのGPTで書くべき設定文は、応答の丁寧さではありません。根拠を示させることと、答えられないときに黙らせることの2点です。
AIは分からない箇所を、それらしい文章で埋めます。社内FAQでこれが起きると、承認者や締め日が事実と違う形で案内されます。一度でも誤案内を受けた社員は、二度と使いません。
社内の問い合わせに答えるヘルプデスクとして回答してください。
【回答のルール】
・添付された社内資料に書かれている内容だけを根拠に回答する
・資料に書かれていないことは推測せず「資料に記載がないため、担当者にご確認ください」と答える
・回答の末尾に、根拠にした資料名と該当箇所を最大3件挙げる
・専門用語や社内用語は、その場で一言の説明を添える
・金額・日付・締め日は、資料の表記をそのまま引用する
・断定を避け、最終的な判断は本人が資料で確かめられるように書く
【回答の形式】
1. 結論(1〜2文)
2. 補足(必要なときだけ、3文以内)
3. 参考にした資料(最大3件)
2行目と3行目が要点です。答えない指示を先に書いておかないと、AIは答えようとして事実を作ります。出典を必ず出させると、社員が自分で確かめられます。
建設会社の事務所で、この形にした社内FAQを試した例があります。回答の末尾に資料名が出るようになった途端、質問した社員が原典を開くようになりました。結果として、AIの回答そのものより資料の場所を覚えることに効きました。
もう1つ、読ませる資料の側にも決めごとが要ります。給与・人事評価・顧客の個人情報は、ナレッジに入れないでください。読ませなければ、回答に出ようがありません。
設定文は一度書いて終わりにしません。間違った回答が出たら、資料を足すのか設定文を直すのかを毎回切り分けてください。資料に書いてあるのに答えられなかったなら、原因は設定文の側です。
逆に、資料に書いていない内容を答えていたら、そこは設定文が守られていません。禁止のルールを短く言い切る形に書き直します。長い説明より、1行の禁止文のほうが守られます。
回答の形式も先に決めておくと、社員の読み方がそろいます。結論を1〜2文で先に出し、補足は3文以内。長い回答は読まれず、結局は担当者に聞き直されます。
Saixが社内で回している形|出典カードと質問例チップ

ここからはSaixの実物です。社内マニュアル67本を読ませたAIヘルプデスクを、社員と業務委託パートナーの全員が日常的に使っています。
設計思想は、この記事で書いた設定文と同じです。社内資料だけを根拠に回答し、資料に無いことは「担当者にご相談ください」と答えるルールをシステムプロンプト(AIに毎回守らせる前提の指示)で強制しています。
回答には出典のマニュアルが最大3件付き、画面には「参考にした資料」のカードとして表示されます。クリックすると原典が開きます。社員はAIの答えをうのみにせず、出典から確認して判断します。
もう1つの工夫が入口です。質問例のチップを10個と、穴埋め形式のフォーマットを5種類置いています。「何を聞けばいいか分からない」で止まる人が、社内FAQでは想像より多くいます。
画面下には「AIの回答は間違うことがあります。出典で確かめ、最後はご自身で判断」を常設しています。この一文があるだけで、回答の受け取られ方が変わります。
質問は8つのカテゴリに自動で分類しています。ツールの使い方、クライアント対応、請求・契約、ファイル管理、AI活用、営業・提案、社内制度、その他の8つです。
この分類が効くのは、回答そのものではなく運用のほうです。質問が集中しているカテゴリは、そのままマニュアルが弱い領域として次に直す優先順位になります。探す時間が「人に聞く」から「AIに聞く」に置き換わりました。
コストの上限も先に決めています。1問ごとのAPI(システム同士をつなぐ接続口)の利用料を円換算で記録し、月額3,000円に達したら自動で停止する設計です。上限を先に決めておくと、社員に「聞きすぎるな」と言わずに済みます。
自社の場合はいくらになるのか、この機会に出してみてください。削減できる時間と金額を、業務ごとに算出します。
以下の画像の「無料で試算する」をクリックして、AIで浮く金額を先に確認してください。

※ 画像の金額は表示例です。実際の試算額は入力内容によって変わります。
失敗・落とし穴|ChatGPTの社内FAQが使われなくなる4つの原因

稼働しないことが失敗ではありません。動いているのに誰も開かなくなることが失敗です。原因はほぼ4つに集約されます。
原因1:改定前の資料が混ざり、古い答えが自信満々に返る
共有ドライブの深い階層に、同じ規程の旧版が眠っています。これを一緒に読ませると、AIは古いほうを根拠に答えます。読ませる前に、正しい資料がどれか1つに決まっている状態を作ってください。
原因2:社員が別の画面を開く必要があり、隣に聞くほうが速い
どれだけ精度が高くても、専用のページを開いてログインする手間があると使われません。毎日開いている画面から1クリックで入れるかどうかで、使われ方が変わります。入口の設計は、回答の精度より先に決める話です。
原因3:出典が出ず、答えが正しいか確かめられない
根拠が示されない回答は、正しくても信用されません。特に金額と日付が絡む質問では、社員は必ず裏を取ります。出典の表示は、精度を上げる機能ではなく、信用してもらうための機能です。
原因4:答えられなかった質問が集められておらず、育たない
最初の30問で全部を拾えるはずがありません。答えられなかった質問を毎週集め、資料を足していく工程が要ります。この作業が回っている限り、社内FAQは古くなりません。
集める作業は、担当者を1人決めて週に15分だけ確保すれば足ります。時間を確保しないと、気づいた人が直す形になり、結局だれも直しません。
社内FAQのAIは「答える装置」として見られがちですが、価値の半分は「質問を集める装置」のほうにあります。社員がどのカテゴリで詰まっているかは、質問ログを見るまで誰にも分かりません。質問が集中している領域が、次に作るべきマニュアルです。回答精度を上げる前に、ログを見る習慣を作ってください。
既製の製品と比べてから決めたい場合は、AI FAQボットの料金と選び方の比較が判断材料になります。自社で開発する形まで踏み込むなら、社内FAQチャットボットを自分で組む6ステップのほうが手順が合います。
ChatGPTで始めるか、製品を入れるかを、投資を決める前に見極めます
読ませる資料の整理、設定文の書き方、権限を分ける必要が出るタイミングは、社員数と資料の量で変わります。Saixが社内で回しているAIヘルプデスクの実物をお見せしながら、御社の最小構成を一緒に決めます。オンラインで、費用はかかりません。
よくある質問
Q. 社内資料をChatGPTに読ませて、学習に使われませんか
料金ページの比較表では、いずれのプランも「コンテンツをモデルの学習に使用」が「無効化可能」と明記されています。設定でオフにしたうえで使ってください。
加えて、給与・人事評価・顧客の個人情報はナレッジに入れない運用を決めます。読ませない情報を先に決めるほうが、規約の確認より確実です。
Q. 質問と資料はどれくらい用意すればよいですか
質問は30問、資料は10本以内から始めてください。問い合わせの多くは同じ質問の繰り返しなので、上位30問で大半をカバーできます。
最初から数百問を用意しようとすると、公開する前に息切れします。答えられなかった質問を毎週足すほうが早く育ちます。まず1部署ぶんで通してください。
Q. 無料版のままでどこまでできますか
質問の書き出しと、資料の整形、回答原稿の作成までは無料版でも届きます。届かないのは、資料を読ませたGPTを保存して社員に配ることです。公式の記載どおり、カスタムGPTはPlus以上になります。
まとめ
ChatGPTで社内FAQを始めるときの最小構成は、資料とGPTと入口の3つです。製品を買わずにここまで到達できます。ただし到達点の質は、読ませる資料が1つに定まっているかどうかで決まります。
手順は5ステップです。実際に来た質問を30問集め、根拠資料を1か所に集め、AIで整形し、GPTに添付し、30問で答え合わせをする。ここまでで1日です。
設定文には、出典を最大3件出させることと、資料に無いことは答えさせないことを必ず書きます。
プランは公式表記で無料版が0円、Goが1,400円、Plusが3,000円です。カスタムGPTが使えるのはPlus以上で、権限を分けて全社に配る段階になるとBusinessやEnterpriseの検討に入ります。
次の一手は、担当者に届いた質問を1か月ぶんさかのぼって30問書き出すことです。社内FAQの全体像から整理したい場合はAI FAQで社内問い合わせを減らす仕組みの全体像が土台になります。
資料の正本づくりから定着の運用まで整えたい場合は、AIマニュアル構築支援で実際の形をご覧ください。
結論:ChatGPTでの社内FAQは、資料・GPT・入口の3点で始められます。成否を分けるのは製品選びではなく、読ませる資料が1つに定まっているかどうかです。
- カスタムGPTはPlus以上:公式表記で無料版0円、Go 1,400円、Plus 3,000円。学習利用は全プランで無効化可能
- 手順は5ステップ:質問30問の収集、資料の集約、AIでの整形、GPTへの添付、30問での答え合わせ
- 設定文の要は2つ:出典を最大3件出させる。資料に無いことは答えさせない
- 入口を毎日開く画面に置く:別画面を開かせた時点で、隣の席に聞くほうが速くなる
- 質問ログを見る:質問が集中しているカテゴリが、次に作るべきマニュアルになる



