「マニュアルを作らないと」。そう言い続けて半年が過ぎました。現場は忙しく、書ける人ほど手が空きません。着手のたびに目次で止まる。結局、退職者の引き継ぎが来るたびに口頭で押し切っています。
マニュアル作成を外に任せるかどうかで迷うのは、たいてい次の3点です。
- 相場が分からない。公式サイトを見ても金額が出てこない
- 現場のやり方を知らない外部が、使える手順書を書けるとは思えない
- 納品されたあと、更新が誰の仕事になるのか決まっていない
この記事では、公式サイトで確認できた情報だけを使い、次のことに答えます。
- 自分で作る・ツールを買う・代行に任せるの3択を、どの条件で分けるか
- 代行を依頼してから納品されるまでの5ステップと、社内側の作業量
- 費用が「要問い合わせ」ばかりになる理由と、見積もりの読み方
- 納品後にマニュアルが古くなる失敗の型と、契約前の防ぎ方
Saix自身、社内マニュアル67本をAI(Claude Code)で生成し、社内ポータル「Saixマニュアルブック」に集約して運用しています。
自社で作って自社で運用している立場から、外注する側の視点で書きます。
代行に任せて失敗する原因は、業者の質ではありません。納品されたマニュアルを誰が更新するかを決めずに契約することです。発注の前に決めるのは予算ではなく、対象業務の範囲と、更新を引き取る社内の担当者。この2つが決まっていれば、見積もりの比較は一気に楽になります。
まず自社で作る方法から知りたい方は、次の記事が参考になります。

監修者
株式会社Saix 代表取締役
東証プライム上場企業含む100社以上のAI導入支援|リクルートでのAI推進・新卒マニュアル制作経験を経て、Webサイト「AIマニュアル研究所」を運営|YouTubeメディア「かいちのAI大学」4.8万人。
外注費と、社内でAIを使った場合の削減額を並べて比べると判断が早くなります。年間の削減額を3分で出せます。
会社のホームページのURLを入れるだけで、削減できる時間と、それを人件費に換算した金額がその場でわかります。入力は5つだけ、3分で終わります。費用はかかりません。
以下の画像の「無料で試算する」をクリックして、まず自社の金額を出してみてください。

※ 画像の金額は表示例です。実際の試算額は入力内容によって変わります。
選択肢は3つ|分かれ目は予算ではなく、社内に書ける人がいるか

マニュアル整備の進め方は、突き詰めると3つしかありません。この3つは費用の大小で並ぶものではなく、社内に割ける手があるかどうかで分かれます。
| 進め方 | 社内の作業量 | 費用のかかり方 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 自分で作る(生成AIを使う) | 大きい。素材集めと確認は社内 | AIの利用料のみ。無料枠でも着手できる | 対象が1業務・数十本まで。書ける担当者を1人置ける |
| ツールを買う(マニュアル作成ツール) | 中くらい。作るのは社内、体裁と配布はツール | 月額・年額の継続費用 | 作り続ける前提がある。閲覧状況の管理までしたい |
| 代行に任せる(BPO・制作会社) | 小さい。ヒアリング対応と内容の確認 | 制作物ごとの費用。継続は別契約が多い | 本数が多い。期限が決まっている。書ける人が社内にいない |
誤解されやすいのは、代行が「いちばん高い選択肢」だという思い込みです。実際に高くつくのは、着手できないまま1年放置された自作です。作りかけの目次だけが残り、その間の引き継ぎは全部口頭で処理されます。
逆に、代行に頼んでも社内負担がゼロになるわけではありません。現場のやり方を知っているのは社内の人だけです。ヒアリングと内容確認は、どの進め方を選んでも社内に残ります。
ツールを買う選択肢を先に検討したい方は、マニュアル作成AIツールを社内利用の視点で比べた選定基準で、製品ごとの違いを整理しています。
代行に任せるべきケース|3つの条件のうち2つ当てはまるかで判断する

代行が合うかどうかは、次の3条件で見ます。2つ以上当てはまるなら、外に出したほうが早く終わります。
- 条件1:整備すべき本数が数十本を超える1業務ぶんなら社内で書けます。部署をまたいで数十本を一斉に立ち上げる場面では、社内の片手間では終わりません
- 条件2:期限が外から決まっているISO認証の審査、拠点の新設、大量採用の受け入れ。日付が動かせない案件は、着手の遅れがそのまま失敗になります
- 条件3:書ける人が現場の主力と重なっている手順を一番よく知っている人ほど、現場を離せません。その人に執筆まで乗せると、本業が止まります
金属加工の現場を持つ製造業では、作業標準書を書けるのがベテランの職長ひとりという状況が起こります。その人は同時に、機械の段取り替えを任されている人でもあります。
この場合、職長に書かせるのではなく、職長に話してもらう形に変えるのが正解です。話す1時間なら現場から離せます。文章に起こす工程だけを外に出せば、本業は止まりません。
逆に、対象が経理の月次締めだけといった1業務なら、代行を挟むより社内で生成AIに下書きさせたほうが速く回ります。
1つも当てはまらないなら、外に出す前にやることがある
3条件のどれにも当てはまらないのに代行を検討している場合、本当の詰まりは別の場所にあります。多くは「何から手をつけるか決まっていない」状態です。
この状態で発注すると、業者側も範囲を決められません。結果、ヒアリングだけが長引いて着手が遅れます。
整備の順番が決まっていないうちは、外に出しても速くなりません。まず、担当者が辞めたら止まる業務を1つ選んでください。そこが最初の1本です。
ここまでの内容を自社に当てはめると、年間どれくらいの経費が減るのか。会社のURLを入れるだけで、その場で試算できます。
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代行の進め方5ステップ|社内が動くのはヒアリングと確認の2工程だけ

依頼から納品までの流れは、会社によって名前が違っても中身はほぼ共通です。社内が実質的に手を動かすのはSTEP2とSTEP4の2工程です。
STEP1:対象業務と成果物の形を決めて、見積もりを取る
何を整備する業務の範囲、本数の目安、納品形式(文書か動画か)、納期を決めます。
ここが曖昧なまま相見積もりを取ると、各社の金額が比較できません。A社は1本あたり、B社は一式、C社は月額で出してきます。
「経理の月次締め、想定8本、Word納品、3か月以内」まで書いて渡すと、同じ土俵の見積もりが返ってきます。
STEP2:現場ヒアリングに担当者を出す
どうやって実際に作業している人へのヒアリングです。1業務あたり60分から90分が目安になります。
ここで手を抜くと、あとの工程が全部ずれます。マニュアルに書きにくいのは操作手順ではなく、判断の理由だからです。
「この治具を先に外さないと傷がつく」といった注意点は、本人の口からしか出てきません。ヒアリングには、正しい手順を知っている人ではなく、実際に毎日やっている人を出してください。
STEP3:業者側で構成案と初稿を作る
ヒアリング内容をもとに、目次と初稿が上がってきます。AIを使う会社では、この初稿生成が短くなります。
ただし初稿の速さは品質と関係ありません。見るべきは、初稿が「操作の羅列」で終わっていないかどうかです。判断の理由と、失敗したときの戻し方が入っていれば、ヒアリングが機能しています。
STEP4:現場でレビューし、実際にその通りに動くか試す
初稿を読んで直すだけでは不十分です。その業務を知らない人に、マニュアルだけを見て実際にやらせてください。詰まった箇所が、書き足りない箇所です。
読んで違和感がないマニュアルと、その通りに動けるマニュアルは別物です。この検証を飛ばすと、納品後に「結局使えない」となります。
STEP5:納品形式と更新の権利を確認して引き取る
最後に確認するのは、編集できる形式で受け取れるかです。PDFだけの納品だと、社内で1文字も直せません。
WordやMarkdownなど、社内で編集できる元ファイルを必ずセットで受け取る。ここを契約前に書面で確認します。
あわせて、著作権と二次利用の扱いも確認します。納品物を社内で改変してよいか、グループ会社に展開してよいか。この2点は後から交渉すると費用が発生します。
置き場所も引き取りの前に決めておきます。納品されたファイルの行き先が決まっていないと、担当者のパソコンの中で止まります。共有ドライブでも社内ポータルでも構いません。1か所に固定するのが条件です。
ゴール:業務を知らない人がマニュアル通りに作業を完了でき、その原稿を社内で編集できる状態になっていればOKです
費用の考え方|料金を公開しているのは10社中4社だけ

相場を調べても金額が出てこないのには理由があります。マニュアル制作代行は、料金を公開していない会社のほうが多い領域です。
実際に各社の公式サイトを1件ずつ開いて確認したところ、金額を明記していたのは10社中4社でした。
| サービス/提供会社 | 納品形式 | 料金(公式表記) | 無料相談・見積 |
|---|---|---|---|
| マニュアル作成代行(テンダ) | PDF/HTML5/動画 | PDF納品 72万円、PDF・HTML5納品 159万円(公式の費用例)。動画編集プラン 20万円〜 | 無料トライアルの案内あり |
| 業務マニュアル制作サービス(セザックス) | 印刷物/PDF/HTML/動画 | 印刷物・PDF 100万円〜(50ページ)、HTML 150万円〜、動画 150万円〜(1コンテンツ) | 「まずは相談する 無料」 |
| 業務マニュアルの制作代行(あいわーくす) | 印刷物/PDF | 企画・構成 110,000円〜、原稿作成 11,000円〜/ページ、取材 55,000円〜(1日・1人) | 「無料でお見積もりいたします」 |
| HELP YOU(ニット) | オンライン代行の一業務として対応 | チームプラン 月額10万円〜(税抜)/実働30時間〜 | メール・電話での質問は無料 |
| マニュアル作成代行(ヒューマンサイエンス) | PDF・紙/Web/動画 | 要問い合わせ | 「資料請求・見積・打合せ・提案は無料です」 |
| マニュアル作成代行(スタディスト) | 公式ページに明記なし | 要問い合わせ | 資料ダウンロード無料 |
| マニュホ(2.1) | 月1回のヒアリングで順次マニュアル化 | 要問い合わせ | 公式に記載なし |
| マニュアル制作(テクノツリー) | 作業手順書/取扱説明書/動画 | 要問い合わせ | 公式に記載なし |
| マニュアル・取扱説明書制作(パソナ日本総務部) | 企画〜印刷までワンストップ | 要問い合わせ | 概算見積の案内あり |
| マニュアル制作(PMC) | 企画・制作〜印刷コーディネート | 要問い合わせ | 公式に記載なし |
※本記事の料金はすべて各社公式サイトの記載(2026年7月時点)にもとづきます。プラン改定により変わる場合があるため、検討時は必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
比べられない本当の理由は「値付けの単位が違う」こと
金額が分かっても横に並べられないのは、何に対して払うのかが会社ごとに違うからです。公開されていた4社を見ると、単位は3通りに分かれます。
- 一式で決まる(テンダ・セザックス)納品形式と分量で総額が決まる方式。本数が固まっていれば読みやすい
- 工程ごとの単価(あいわーくす)企画・取材・原稿・イラストを積み上げる方式。必要な工程だけ頼める
- 月額の工数(ニット)実働時間を買う方式。マニュアル以外の事務も混ぜて使える
この違いがあるため、同じ「50ページ」でも見積もりの根拠がそろいません。比較したいなら、こちらから単位を固定して聞くのが確実です。
「経理の月次締めを8本、PDF納品、原稿は編集可能な形式で同時提供」と条件を書いて出す。すると各社が同じ前提で数字を返してきます。
検索で出てくる「100ページで100万円が相場」といった数字は、第三者のまとめサイト由来です。公式に確認できないものが混ざっているため、社内稟議の根拠にはしないでください。
AIを使う代行はまだ少ない
公式サイトでAI活用を明示していたのは、10社のうち1社だけでした。AIによる制作を前面に出しているのは、代行会社ではなくツール提供側です。
つまり「AIで安くなる」という期待で代行を探すと、期待と現実がずれます。AIで安く速く作りたいなら、それはツールを使って社内で作る話になります。
うちは社内マニュアル67本を、AIに生成させて自分たちで運用しています。正本はローカル、配布はポータル。この分離ができていれば、外に出すのは執筆工程だけで済みます。全部任せる前に、どこを任せるかを切り分けてください。

依頼前に社内で決めておく3点|これが決まると見積もりが比較できる

問い合わせる前に、次の3つを社内で決めます。ここが決まっていないと、どの会社に聞いても「まずはヒアリングから」で止まります。
- 対象業務の範囲と想定本数(部署単位ではなく業務単位で切る)
- 納品形式(文書か動画か、編集可能な元ファイルを含むか)
- 納品後に更新を引き取る社内の担当者
3つ目がいちばん忘れられます。制作費の見積もりは取るのに、更新の担当者を決めないまま契約する。半年後、マニュアルは納品時のまま止まります。
自社の場合はいくらになるのか、この機会に出してみてください。削減できる時間と金額を、業務ごとに算出します。
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※ 画像の金額は表示例です。実際の試算額は入力内容によって変わります。
代行で失敗する4パターン|納品された時点が品質のピークになる

代行の失敗は、納品物の出来が悪いことではありません。納品された瞬間が品質のピークで、そこから下がり続けることです。型は4つあります。
失敗1:範囲を広く取りすぎて、どれも浅い仕上がりになる
「全社のマニュアルを一気に」と発注すると、1本あたりのヒアリング時間が削られます。結果、どの業務も表面的な操作手順だけが並びます。
最初は1部署・1業務に絞ってください。1本の完成品を見てから本数を広げるほうが、総額は同じでも中身が濃くなります。
失敗2:PDFだけで納品され、社内で1文字も直せない
体裁の整ったPDFが届きます。半年後、業務のやり方が変わります。直したいのに元ファイルがない。業者に頼むと追加費用がかかる。
こうして誰も直さなくなり、現場は「あれは古いから見なくていい」と言い始めます。編集可能な元ファイルを受け取れるかは、価格より先に確認する項目です。
失敗3:ヒアリングに現場ではなく管理職が出る
管理職が語る手順は、たいてい「あるべき姿」です。実際の現場では、その通りにやっていない工程があります。
できあがったマニュアルは正しいけれど、現場の実態と食い違う。読んだ新人が混乱し、結局は先輩に聞き直します。マニュアルの精度は、誰がヒアリングに出たかでほぼ決まります。
失敗4:更新の担当者を決めないまま、契約が終わる
「気づいた人が直す」は、結局だれも直しません。更新オーナーを1人決め、業務のやり方が変わった時点で直す。この一手だけで、マニュアルの寿命は何倍にも伸びます。
更新オーナーの役割は、全部を書き直すことではありません。変わった箇所を差し替えるだけです。制作の型が納品物に残っていれば、この作業は短時間で終わります。
だからこそ、契約時に「作り方の型」も一緒にもらう交渉をしてください。目次の構成ルール、書き方の基準、ヒアリング項目の一覧。成果物より型のほうが、長く効きます。
代行を検討するとき、多くの会社が「制作費をいくら払うか」で比較します。しかし成否を分けるのは金額ではなく、納品されたマニュアルを社内で編集できるか、更新する人がいるかです。
同じ100万円でも、編集できない完成品を100本もらうより、編集できる原稿を30本と作り方の型をもらうほうが、3年後に残る資産は大きくなります。見積もりを比べる前に、契約終了後の姿を先に決めてください。
更新を社内で回す前提で作るなら、業界別の雛形をAIで埋めていく手順を合わせて見ておくと、引き取ったあとの運用が想像しやすくなります。
代行に出すべきか、社内で回せるか。発注の前に切り分ける
対象業務の範囲、本数、更新の担当者。この3点をその場で整理し、外に出す部分と社内に残す部分を切り分けます。オンライン・無料で対応しています。
よくある質問
Q. 社内の手順書を外部に渡して、情報漏洩が心配です
秘密保持契約を結んだうえで、渡す資料の範囲を先に決めてください。顧客名・個人情報・単価表は、マニュアル本体から切り離して別管理にします。手順そのものは伏せずに渡さないと成果物が薄くなるため、伏せるのは固有名詞と金額だけに絞るのが現実的です。
Q. 何本くらいから代行に出す意味がありますか
目安は数十本からです。1業務・数本なら、生成AIを使って社内で下書きを作るほうが速く、費用もかかりません。部署をまたいで一斉に立ち上げる場合や、期限が外から決まっている場合は、本数が少なくても外に出す価値があります。
Q. 納品後の更新も代行に頼めますか
継続の保守契約を用意している会社はありますが、制作費とは別契約になるのが一般的です。ただし更新を全部外に出すと、社内に手順が残りません。年1回の全体見直しだけ外部に頼み、日々の細かい修正は社内で直す形が、費用と鮮度の両方を守れます。
まとめ
マニュアル作成の進め方は、自分で作る・ツールを買う・代行に任せるの3つです。分かれ目は予算ではなく、社内に書ける人がいるかどうか。本数が数十本を超え、期限が外から決まっていて、書ける人が現場の主力と重なっているなら、外に出したほうが早く終わります。
費用を比べる前に、社内で3つ決めてください。対象業務の範囲、納品形式、そして更新を引き取る担当者です。この3つが決まっていれば、各社の見積もりは同じ土俵に並びます。決まっていなければ、どこに聞いても「まずはヒアリングから」で止まります。
納品形式の確認は特に忘れられます。編集できる元ファイルを受け取れないマニュアルは、納品された日が品質のピークです。契約前に、編集可能な形式で受け取れるかを書面で確認してください。
まずは1業務ぶんを社内で試してから発注量を決めたい方は、作業手順を標準化する5ステップで必要な作業量を見積もれます。外に出す範囲と社内に残す範囲を一緒に切り分けたい場合は、AIマニュアル構築支援から相談できます。
結論:代行に任せるかどうかは、本数・期限・書き手不在の3条件のうち2つ当てはまるかで決まります。発注前に「対象範囲・納品形式・更新担当」の3点を社内で決めておくと、各社の見積もりが同じ土俵に並び、比較できるようになります。
- 3択の分かれ目:費用の大小ではなく、社内に書ける人を割けるかどうか
- 社内が動く工程:現場ヒアリングと、マニュアル通りに動けるかの検証の2つだけ
- 費用の読み方:料金を公開している会社は少ない。範囲と本数を固定して相見積もりを取る
- 最大の失敗:編集できない形式で納品され、更新担当も決まっていない状態




