「Copilot、うちも入れたほうがいいですよね」。役員会でそう言われて、管理部の担当者が見積もりを取り始める。出てくるプラン名は似たものばかり。追加で買うのか、いまの契約に含まれているのか。何人分を付ければよいのか。そこで手が止まります。
Microsoft 365を使う会社にとって、Copilotは入れるかどうかより、どう入れるかで結果が変わります。
法人でCopilotを導入するとき、つまずくのは、たいてい次の3点です。
- Copilotと名の付く製品が複数あり、どれを契約する話なのか社内で揃っていない
- 全社員に配るのか、一部から始めるのか、決めるための材料がない
- 契約は済んだものの、3か月後に使われているかを確かめる方法がない
この記事では、次のことに答えます。
- 法人で契約できるCopilotの種類と、公式サイトに掲載されている金額
- ライセンスを誰に、何人分から配るかの決め方
- 契約前に片付けておく社内文書の置き場と、見せてよい範囲の設定
- 3か月後に見る指標と、使われないまま止まる会社の共通点
Saix自身、社内マニュアルを70本前後まで増やしてAIで運用しています。社員の質問に社内文書を根拠に答えるヘルプデスクも内製しました。作り手であり運用者でもある立場から、机上論ではなく手を動かす前提で書きます。料金は各社の公式サイトを1件ずつ開いて確認しました。
Copilotの費用が読めなくなるのは、Microsoft 365本体の契約と追加契約が二階建てになっているためです。先に決めるのは製品名より、AIに読ませる文書の置き場と、最初に配る5人です。全社へ一斉に配った会社ほど、3か月後には使われなくなっています。
監修者
株式会社Saix 代表取締役
東証プライム上場企業含む100社以上のAI導入支援|リクルートでのAI推進・新卒マニュアル制作経験を経て、Webサイト「AIマニュアル研究所」を運営|YouTubeメディア「かいちのAI大学」4.8万人。
あなたの会社がAIを使うと、年間いくら経費を削減できるのか。3分で自社の数字を出せます。
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Copilotの導入で契約するものは3つある|社内で指しているものが違うと見積もりが合わない

Copilotという名前は、複数の製品にまたがります。法人が契約の候補として検討するものは、大きく3つに分かれます。
- Microsoft 365 CopilotWord・Excel・Outlook・Teamsの中で動く有料の追加契約。社内の文書やメールを読ませて使う
- Microsoft 365 Copilot Chat対象のMicrosoft 365契約があれば追加費用なしで使えるチャット。既定ではインターネット上の情報が中心
- GitHub Copilotプログラムを書く人向けの別契約。Microsoft 365の契約とは完全に切り離されている
社内で見積もりが噛み合わない原因はここにあります。経営側は有料の追加契約を、情報システム側は無料で使えるチャットを指していることが珍しくありません。
本記事はMicrosoft 365を使う会社を前提に、1つ目の有料契約をどう入れて定着させるかを扱います。他社との比較は主要AIサービスの用途別の選び方と料金で整理しています。
Saixでも社内向けのAIは、読ませてよい情報の範囲を先に決めてから使い始めました。契約の種類が決めるのは、この読ませる範囲そのものです。
料金は月額3,148円から|公式に出ている金額と、その前に必要な契約

以下はマイクロソフトとGitHubの公式サイトを1件ずつ開いて確認した公式表記です。第三者サイトの推定額は使っていません。
| 公式の名称 | 公式サイトに載っている料金 | 契約の前提 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business(追加契約) | 通常 ¥3,148 ユーザー/月相当(年払い)/月間契約 ¥3,778 ユーザー/月/割引 ¥2,698 は期間限定 | 対象のMicrosoft 365契約が別に必要 | すでにMicrosoft 365を使っている会社 |
| Microsoft 365 Business Standard と Copilot Business | 年払い ¥3,523 ユーザー/月相当 | これ1本で完結し、別々に契約するより安い | Microsoft 365ごと新規に入れる会社 |
| Microsoft 365 Business Premium と Copilot Business | 年払い ¥4,797 ユーザー/月相当/月間契約 ¥5,756 ユーザー/月 | これ1本で完結する | 端末の管理やセキュリティ設定もまとめたい会社 |
| Microsoft 365 Business Standard(本体のみ) | 年払い ¥2,098 ユーザー/月相当/月間契約 ¥2,518 ユーザー/月 | Copilotは含まれない | 追加契約の土台になる基本の契約 |
| Microsoft 365 Business Basic(本体のみ) | 年払い ¥1,049 ユーザー/月相当 | Copilotは含まれない | Web版中心で使う最小構成 |
| Microsoft 365 Copilot Chat | 追加費用なし | 対象のMicrosoft 365契約を持っていること | まず社内の反応を見たい段階 |
| GitHub Copilot Business | 19 米国ドル/付与されたシート/月 | GitHubの組織アカウント(ソフト開発の共同作業サービス) | 社内にプログラムを書く担当がいる場合 |
| GitHub Copilot Enterprise | 39 米国ドル/付与されたシート/月 | 同じサービスの上位契約 | 開発の担当者が多い会社 |
※本記事の料金はすべて各社公式サイトの記載(2026年8月時点・いずれも税別表記)にもとづきます。プラン改定により変わる場合があるため、検討時は必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
※割引価格の ¥2,698 は2026年9月30日までの期間限定です。年間契約が前提で、既存のMicrosoft 365利用者の初年度だけに適用されます。
本体と追加契約の二階建てになるため、1人あたりの実額は表の数字より上がる
表の1行目だけを見て「1人あたり3,148円」と稟議を書くと、あとで足りなくなります。Copilot Businessは追加契約であり、その下にMicrosoft 365本体の契約が必要だからです。
公式資料では、Copilot Businessを付けられる本体の契約が4つ挙げられています。Business Basic、Business Standard、Business Premium、Apps for businessです。
Business Standardを年払いで使う会社なら、本体2,098円に追加契約3,148円が乗ります。1人あたり月5,246円が実額です。10人なら月52,460円、年間629,520円になります。
年間契約と月間契約で、1人あたり月630円の差が出る
同じCopilot Businessでも、年払いなら3,148円、月間契約なら3,778円です。差は1人あたり月630円、年間で7,560円になります。
年払いが有利に見えますが、年間契約は自動更新で1年ぶんの座席数が固定されます。試す段階の会社には、この固定のほうが金額差より重い制約になります。
Copilot Chatは、対象の契約があれば追加費用なしで使えます。ただし読めるのは、インターネット上の情報が中心です。
社内のファイルやメールを根拠に答えさせるには、有料のライセンスが要ります。無料と有料を分けているのは機能ではなく、読ませる情報の範囲です。
GitHub Copilotはドル建てで、1米ドル155円ならBusinessは1人あたり月およそ2,900円です。ドル建ての契約は、円での支払額が為替で動きます。
他社の法人契約と横並びで比べる場合は、次の2本が使えます。ChatGPTは法人名義で契約するときの料金と申込手順、Geminiは法人向けプランと個人版との違いにまとめました。
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ライセンスは全社に配らない|最初に配るのは部署をまたいだ5人でよい

導入の相談でいちばん多い質問が「何人分から買えばよいか」です。答えは部署をまたいだ5人です。全社員に配るのは、社内で結果が出てからで間に合います。
配る相手は3条件で選びます。毎日WordやOutlookを開いている人。文章を書く量が多い人。そして、人からよく質問される立場の人です。
3つ目が効きます。質問される立場の人が先に使えるようになると、使い方が社内に自然に流れます。研修を追加で開くより早く広がります。
1つの部署にまとめて配るのは避けます。同じ業務しか試されず、他部署から「うちには関係ない」と見られて終わるためです。営業・管理・現場から1人ずつ選びます。
金属加工の現場を持つ従業員45名の製造業では、総務が2名しかおらず、社内規程の問い合わせが全部そこへ集まっていました。最初のライセンスは総務・営業・工場の班長・経理・経営者の5人に配っています。
割り当ては、Microsoft 365 管理センターの利用者一覧から個人ごとに付け外しできます。使わない人から外して別の人へ回せます。
Saixの社内マニュアルも、全社へ一斉に展開せず、部署ごとに読む範囲を分ける形から広げました。配る相手を絞るほど、更新の責任者がはっきりします。
年間契約は自動更新で、契約した座席数が1年間固定されます。人数を減らす前提があるなら、最初の数か月は月間契約で始め、使う人が固まってから年払いへ切り替えるほうが安全です。
契約前に片付ける場所は3つ|Copilotが読むのは、いま社内に置いてある文書だけ

有料のCopilotが社内の情報を使って答えるとき、参照するのは、いま社内に置いてある文書とメールと会議の記録です。置き場が散らかったまま契約すると、散らかった答えがそのまま返ってきます。
置き場1:共有フォルダに、どれが最新版か分からないファイルが並んでいる
共有フォルダの深い階層に「就業規則_最新_v3_これ使って.docx」のようなファイルが眠っている会社は多くあります。人間は日付とファイル名で見分けますが、AIは並んでいるものを等しく材料にします。
先にやるのは資料を増やすことではありません。古い版を消すか、参照させない場所へ移すことです。1本の正しい文書があれば、10本の似た文書より答えは安定します。
Saixではマニュアルの原本を置く場所と、社員が読む配布先を分け、原本から配布先へ一方向で流し込む形にしています。どちらを直せばよいかを迷う場面が消えるためです。
置き場2:本人しか開けない個人フォルダに、社内で必要な文書が入っている
個人用のクラウド保存領域は本人だけが見られる場所です。ここに置いたまま共有していない文書は、他の人がCopilotに聞いても出てきません。
逆の事故もあります。権限を広く付けたまま放置したフォルダは、Copilot経由でも同じように見えます。人事評価や給与の資料が入っていないか、契約前に共有範囲を確認してください。
置き場3:メールと会議の記録は、設定を変えないと対象にならない
公式資料では、対応するのはExchange Onlineの本人のメールボックスのみと明記されています。アーカイブ用や共有・委任のメールボックスは対象外です。
会議の内容を後から参照させたい場合は、文字起こしか録画を有効にする必要があると公式に記載されています。会議の要約が出ないという相談の多くは、この設定が入っていないだけです。
3か所とも、契約後に手を付けても遅くはありません。ただし片付くまでの間、使った社員は「聞いても大した答えが返らない」と判断します。その印象は、あとから機能を足しても戻りません。
最初に使わせる業務の選び方|週に3回以上繰り返している文章仕事から選ぶ

5人にライセンスを配ったら、次は業務を1つだけ指定します。「好きに使ってみて」は、いちばん使われない渡し方です。
基準は3つです。週に3回以上繰り返していること。仕上がりの形が決まっていること。間違っても社外に出る前に気づけることです。
訪問介護の事業所では、サービス提供記録の下書きを最初の業務にしました。訪問後のメモを渡し、決まった項目の並びに整えさせ、担当者が事実を確認して確定させます。
建設会社なら、現場から届く写真つき報告を週次の報告書へまとめる工程が同じ形です。AIに書かせるのは下書きまでで、社外に出る一言は人が発します。
最初に選んではいけない業務もあります。見積金額の確定、取引先へのお詫び、労務上の判断です。責任の所在が動く仕事は、成果が出ても社内で怖がられます。
ゴール:5人全員が「この業務でCopilotを使う」と1文で言える状態になっていればOKです
自社の場合はいくらになるのか、この機会に出してみてください。削減できる時間と金額を、業務ごとに算出します。
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3か月で止まる会社の共通点|精度が低い時期は手作業のほうが早い

Copilotを入れた会社の多くが、3か月目に同じ壁に当たります。契約は続いているのに、開いている人が2人まで減っている状態です。
原因は社員のやる気ではありません。導入初期はAIの出力精度が低く、自分でやったほうが早い時期が必ずあるためです。この期間に元のやり方へ戻るのは、現場としては正しい判断です。
号令をかけても定着しないとき、直すべきは社員の意志より仕組みの側です。手作業のほうが早い時期に、AIを試した人だけが余計に時間を使う形になっているためです。評価する対象を成果から「工夫した姿勢」へ置き換えると、この時期を越えられます。
落とし穴1:全社に配り、説明会を1回開いて終わりにしている
説明会の直後は利用者数が跳ね上がります。2週間後には元に戻ります。1回の説明で身につくのは操作の場所までで、自分の業務に当てはめる作業は各自に残るためです。
5人から始める設計が効くのはここです。少人数なら、うまくいった使い方を毎週1つ集めて社内に流せます。全社配布では、誰が何に使っているかを追えません。
落とし穴2:精度が低い時期に使った人が、社内で損をする形になっている
成果を条件に評価すると、出力が安定しない時期には誰も手を挙げなくなります。失敗が数字として残るためです。
株式会社北の達人コーポレーション様は、会社としてAIへ移行する姿勢を打ち出しています。月間の表彰とは別に、全社の生成AI表彰も設けました。月次の振り返りシートに「今月どうAIを活用し工夫したか」を書く欄があり、評価の基準に組み込まれています。
ポイントは、うまく使えたかではなく、使おうと工夫した姿勢を評価していることです。精度が低い時期でも手を挙げられる状態を、制度の側で作っています。
評価制度を持たない小規模な組織なら、経営者自身が使っている画面を朝礼で見せるほうが早く効きます。社長が使っていないツールを、社員が使い続けることはありません。
3か月後に見る指標:利用率でなく、質問の宛先が変わったかを見る
管理センターの利用状況レポートでは、Copilot Chatの利用者数や指示文の数を確認できます。ただし、この数字だけを追うと判断を誤ります。
見るべきなのはこれまで特定の人へ飛んでいた質問が、別の宛先へ向かい始めたかです。総務に集まっていた社内規程の問い合わせが減っていれば、数字が小さくても定着は進んでいます。
Saixでは、社内マニュアルに理解度クイズを紐づけ、合格しないと次のステップが開かない形にしています。読んだかどうかではなく、読んで答えられるかで進み具合を見るためです。

3か月で判断がつかない場合は、業務の切り出し方を疑ってください。定型業務の自動化まで踏み込む選択肢もあり、その範囲と費用はAIに任せられる業務の範囲と外部支援の費用で整理しています。社内からの問い合わせ対応そのものを任せる設計は問い合わせ対応をAIに任せるときの設計と注意点にまとめました。
Copilotを「契約したのに使われない」で終わらせない設計を、60分で引きます
この記事の手順を自社に当てはめると、最初の5人が誰になるか、片付ける文書はどこか、3か月後に何を見るかまで決まります。オンラインの無料AI活用セッション60分で現在の契約と社内の状況をうかがい、導入と定着の順番を組み立てます。
よくある質問
Q. 社内の文書をCopilotに読ませて情報漏洩は起きないか
入力した内容が社外へ出るかどうかより先に、社内で誰に何が見えているかを確認してください。Copilotは、その社員が本来アクセスできる範囲の文書しか参照しません。逆に言えば、権限を広く付けたまま放置したフォルダは、Copilot経由でも同じように見えます。
Q. 何人分から契約すればよいか
部署をまたいだ5人から始めてください。毎日Officeを開き、文章量が多く、人から質問される立場の人を選びます。うち1人は経営に近い立場の人を入れると、続けるかどうかの判断が速くなります。ライセンスの割り当ては管理センターの利用者一覧から個人ごとに付け外しできるため、使わない人から別の人へ回せます。
Q. 追加費用なしで使える範囲だけでどこまでできるか
対象のMicrosoft 365契約があれば、Copilot Chatが追加費用なしで使えます。文章の下書きや要約、社外情報の調べものはこの範囲で足ります。社内のファイルやメールを根拠に答えさせるには、有料のライセンスが必要です。まず無償の範囲を1か月使い、反応を見てから有料へ進む順番で問題ありません。
まとめ
Copilotの導入でつまずく原因は、機能の理解不足より契約の構造にあります。本体と追加契約が二階建てになっていることを、稟議の前に把握できているかで決まります。Business Standardなら1人あたり月5,246円が実額です。
契約より前に手を付けるのは、社内文書の置き場です。共有フォルダの古い版を減らし、個人フォルダに眠る文書を共有へ移し、メールと会議の設定を確認する。この3つが終わっていれば、最初の1か月の印象が変わります。
そして最初に配るのは、部署をまたいだ5人で足ります。精度が低い時期に手を挙げた人が損をしない形を、評価か声かけのどちらかで作ってください。3か月後に見るのは、質問の宛先が変わったかどうかです。
次の一手は、自社の契約プランと利用者数を1枚に書き出すことです。他のAIサービスと横並びで判断するなら主要AIサービスの用途別の選び方と料金へ。自社に当てはめる順番を人と決めるならオンラインの無料AI活用セッション60分をご利用ください。
結論:Copilotの導入で先に決めるのは、「文書の置き場」と「最初の5人」です。全社へ一斉に配った会社ほど、3か月後には使われなくなっています。
- 契約は二階建て:Copilot Businessは年払い3,148円。その下にMicrosoft 365本体の契約が必要(公式表記・税別)
- 配るのは5人:営業・管理・現場から1人ずつ。人から質問される立場の人を必ず入れる
- 先に片付ける3か所:共有フォルダの古い版、個人フォルダに眠る文書、メールと会議の設定
- 3か月後に見る指標:特定の人へ集まっていた質問の宛先が変わったか
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